綱島と新吉田とマッサージ

今は街を歩けばあちこちにマッサージ屋や整体屋さんがありますね。
「揉みほぐし60分2980円~」という看板を目にすることも多いのではないでしょうか?

肩こりや腰痛をお持ちの方は、定期的にマッサージや整体に通っているという場合も多いかもしれません。出張先や旅行先で出張のマッサージをお願いすることもあるでしょう。人に触れてもらって身体がほぐれると、心もいくらか楽になりますよね。

少し強めのマッサージを受けると揉み返しが起こったり、だるくなることもあります。
これはいいのか?悪いのか?
本当に効果的なやり方ってどんな方法なのでしょう。

マッサージとは

マッサージはヨーロッパ発祥の手技療法です。皮膚に直接触れて、末梢から中心に向かってさする、揉む、おさえるなどの刺激を加えます。
静脈やリンパの流れを改善し、代謝を改善する効果があるとされています。

日本では厚生労働省が認可する「あん摩マッサージ指圧師」という資格があります。専門の教育カリキュラムを経て、国家試験に合格した人が取得できる資格です。

日本において、顧客に対して「マッサージ」という名称の施術ができるのは、

医師
あん摩マッサージ指圧師
理学療法士(医師の指示にもとづく場合)

のみになります。

マッサージの種類

代表的なものは「あん摩マッサージ指圧師」の資格保有者による医療行為としてのマッサージで、保険の適応にもなる施術です。しかしながら世の中に「マッサージ」という表現が用いられているものはとてもたくさんあります。

  • クイックマッサージ
  • スポーツマッサージ
  • アロママッサージ
  • エステマッサージ
  • リンパマッサージ
  • ベビーマッサージ

などなど……。

各マッサージはリラクゼーションや美容のためのサービスとしての側面が強く、医療行為とは一線を画しています。

これらのマッサージ類似行為をおこなうお店は、国家資格がなくても開業できる業種です。民間団体の整体師としての資格だったり、団体独自の講習を経て発行される資格もあります。

中にはスタッフが国家資格保有者の場合もありますので、施術者の資格について気軽に聞いてみましょう。やはり医療の専門知識を持った人に施術を受けるほうが安心ですよね。

あん摩・マッサージ・指圧の違い
あん摩
マッサージ
指圧

と一括りになっていますが、実際はなにがどう違うのでしょうか。それぞれの成り立ちと違いについて説明します。

資格・名称の違い

あん摩

中国が発祥の手技で、古くに日本に伝わりました。

「按摩」とも表記され、「按」には「おさえる」、「摩」には「さする」という意味があります。つまり「おさえて、さする」のがあん摩です。基本として施術の方向が中心から末端へというのも特徴です。

マッサージ

マッサージはヨーロッパで生まれ、明治以降に日本に持ち込まれたものです。あん摩やマッサージとの違いは、皮膚に直接触れること。基本的に末端から中心方向へという施術の特徴があります。

指圧

指圧はあん摩と導引(もみほぐし)、柔道の医療技術である(活法)を組み合わせて、大正時代に体系づけられた日本独自の治療法です。指や手の平を用いて、一点に集中して圧を加えるという特徴があります。
指圧は体の指圧点に持続的な垂直圧を与える施術です。指圧による刺激が筋肉をほぐし、コリ、うっ血などを解消します。

また可動域が広がるので柔軟性が改善します。さらに血流などの体液循環も促進するため、むくみの解消はもとより、内分泌や自律神経系の調節にも効果が期待できます。

自律神経の緊張状態が緩和されれば、副交感神経が優位になり、自律神経失調によるさまざまな症状を改善。そして自然治癒力の働きも促進します。

指圧の仕組みは、体の一点から全身に働きかけ、改善することです

マッサージの効果

指圧により期待できる主な効果、適応症です。筋肉をほぐし、血流を改善・促進することで、神経系の症状にも働きかけます。以下のお悩みで困っている方は、治療院、サロンで、施術を受けてみてはいかがでしょうか。

  • 肩こり、首のこり、頭痛
  • 腰痛
  • 関節痛
  • 手足の疲れ、しびれ
  • むくみ
  • 冷え性
  • 生理痛
  • 不眠症
  • ストレスによる体の不調
  • リラックス効果

マッサージの科学的根拠

やってもらったら気持ちいいし、ちょっと強かったら身体に揉み返しがくることは、マッサージを受けたことがある方なら経験済みではないでしょうか。

身体に反応が起こっていることは間違いないし、実感として楽にもなるけど、実際は根拠がある行為なのでしょうか。もちろん「あん摩マッサージ指圧師」という資格があり、専門家の施術は言わずもがなですが、「もみほぐし」や「リラクゼーション」のサービスを中心にしたお店で受けるものや、自分でおこなうマッサージなどはどうなのでしょう?

マッサージに関するさまざまな研究と報告

身体には刺激を受け取るセンサーがあります。

皮膚や真皮などの表層部には「触圧覚」という受容器(センサー)が存在し、筋肉には「筋紡錘」や「ゴルジ腱器官」という筋肉の長さや張力を感知する受容器(センサー)があります。それぞれのセンサーが受け取った情報は、神経を介して脳に伝えられ、その結果として身体が起こす反応が変わるという仕組みです。

つまり同じ「触れる」という行為でも、刺激を受け取るセンサーによって全く違う結果になるのです。

たとえば、街で知らない人にいきなり腕を掴まれたら、当然身体は拒絶しますよね?反対に、信頼できる人に触れてもらえば、心身共に安らぐことになります。

触圧覚刺激法・深部リンパマッサージ

身体のセンサーは皮膚と筋肉に多く存在します。そのうち、皮膚のセンサーは少しの刺激で身体を変化させる力を持っています。

この力を活用した「触圧覚刺激法」というテクニックは、リハビリの専門家である理学療法士を中心におこなわれているケア方法です。

ある研究では、ある部位に触圧覚刺激を加えることにより、健常者の関節において関節角度の増加が生じ、反応に持続性(平均20時間) があると報告されています。

つまり「直接触れて、軽く圧を加えると、一定時間は筋肉の緊張が和らぐ」のです。
ちなみにこの実験では、「沈み込み」を感じる程度の圧を加えると表現されています。
つまりは筋肉に触れて、センサーに働きかけさえすれば、皮膚や筋肉が「少し沈む程度の軽い力」でも十分に効果があることを示唆しています。

図1:皮膚にある感覚受容器

また関節の可動域(身体の柔軟性)が低下する要因は、その組織内の圧力(内圧)が高まることにあります。

内部にリンパ液が滞ることで、内側の圧力が上がってきます。真皮や筋膜、被包筋膜などの組織には、図1で示したようなセンサーが多数存在しているのです。

別の研究では、前述した「触圧覚刺激法」や「深部リンパマッサージ」を用いて受容器に働きかけることが、組織の内圧を減少させ、可動域の向上に有用という報告もあります。

スポーツマッサージ

スポーツの現場においては、有資格者トレーナーによるスポーツマッサージがおこなわれています。

たとえば競技開始前には短時間(3~5分間)、比較的速いテンポでの軽擦や揉捻を用いて筋肉を興奮させたり、競技後はゆっくりと時間をかけてマッサージをして、筋肉の緊張と精神的興奮を鎮静させるように使い分けられています。

ベビーマッサージ

また母親が生後3か月の赤ちゃんに対して、一か月間毎日ベビーマッサージをおこなった後、母親の心理的ストレスが軽減するという報告もあります。
マッサージをされている側ではなく、マッサージをする側も、触れることで心がリラックスできることが示唆されます。

このように皮膚をさすったり、かるく圧迫するようなマッサージは身体の組織の反応を引き出します。そして、

  • 筋緊張の緩和
  • 可動域の向上
  • 内圧の低下
  • 心理的なストレスの緩和

など、さまざまな効果をもたらすという研究結果は数多く報告されています。

まとめ

マッサージにはさまざまな種類と方法があり、今回ご紹介しきれなかったものもまだまだ存在します。どんなマッサージであれ、身体によい効果をもたらすためには、施術者の力量が問われます。

もちろん、信頼関係のある中で労りや感謝の気持ちを持っておこなうマッサージほど「心地よい」ものはないのかもしれません。

一方で、もしマッサージを仕事にしているならば、「なぜ、これをやる必要があるのか?」という視点を持ち、施術にあたることが非常に重要です。やみくもに強く揉むとか、全身くまなくマッサージすることはできますが、それでは本当の意味でリラックスしてもらうことにはつながりにくいです。

血液やリンパが滞ると身体には不調が起こってしまいます。常に循環させて、新陳代謝をよくしておくことが健康を保つ秘訣です。