労働災害

労働災害とは、文字通り労働中に起きてしまった災害をのことを言います。労働災害は略して労災と言われています。労働中、業務を行う上で起きてしまった災害はもちろんのこと、通勤中に起きてしまった災害も労働災害となります。

 

業務を行う上で起きる災害は多種多様ですが、それぞれの仕事内容や行う作業に起こりやすい怪我があります。

例えば、物を持って運ぶ作業を行う、荷物の運搬作業や店内の商品陳列作業などのお仕事をされる方の場合には、持っていた荷物を足の上に落してしまい、打撲や捻挫をしてしまったり、作業中に階段を踏み外してしまい、足首の捻挫や骨折をしてしまったり、濡れた床の上で滑って転倒してしまい、手をついて骨折してしまったりなど・・・どのような状況でも災害により怪我をしてしまう危険があります。

通勤災害

一方、通勤災害とは、通勤中に労働者が負ってしまった怪我や病気などのことです。

通勤中とは主に、自宅と仕事場の間の往復ですが、他にも仕事場から他の仕事場への移動中や単身赴任先での自宅と帰省先の自宅との間の移動なども含みます。あくまでも通勤中の場合に限られるため、通勤中に移動の経路を外れた場合や、移動の中断をした場合などは、通勤の間やその後の移動は通勤中とはなりません。

通勤労災と言っても実に様々なパターンがあり、このような通勤中とされる場面で起きてしまった災害も多種多様にあります。

通勤災害のパターン

例えば、会社に向かっている途中歩いている時に、横から飛びだしてきた自転車にぶつかって転倒してしまい、捻挫をしてしまったり、交差点の横断歩道を渡る途中に車にぶつかる交通事故に遭ってしまい、骨折してしまったりなども通勤災害に当てはまります。

ただし、通勤途中の交通事故の場合には、通勤労災の補償ではなく、自賠責保険の補償の方を受けることもできます。

(*自賠責保険は、運転する人が必ず加入しなければならない保険です。交通事故の被害者を救済することを目的に、最低限度の保障を行う保険です。当院では、自賠責保険についての対応もしております。自賠責保険の補償を受ける場合も、窓口での負担はありません。)

労災保険について

労災の怪我により、いつも通りに作業ができず仕事に支障がでたり、怪我が重症な場合には、しばらく働くことができないような状態になることもあります。その上、収入が減ったり、怪我の治療代が払えなくなるなどの金銭的に困るような状況になることもあります。

このような労災の怪我などで働けない状態に陥ってしまった方のために、労働中の怪我の治療などの補償をしてくれるのが労災保険です。

労災保険(労働災害の保険制度)は、労働者の業務上の事由、または通勤による労働者の傷病などに対して、必要な保険給付を行います。それにあわせて、被災した労働者の社会復帰の促進などの事業を行う制度です。それらの費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。

労災保険は、原則として 一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。労災保険における労働者とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者・賃金を支払われる者となります。ですから労働者であれば、正社員・アルバイト・パートタイマーなどの雇用形態は関係ありません。雇われている会社が必ず加入している保険ですから、もしも労働災害に遭ってしまったら、必ず保障を受けるようにしましょう。

休業補償と休業手当

労災では最初の三日は会社から休業補償が支払われ、四日目からは労災保険から休業手当が出ます。もしも、怪我により長期間休まなければならなくなった場合でも保証があります。また万が一、障害が残った場合には、障害補償をもらうこともできます。このように、労働災害での怪我についての出費は心配しなくても良いように保証されているのが労災保険です。

ただし、これらの補償は労災が認められなければ労災保険はおりませんので、労災と認められることが大前提です。また一部では、意図的に労災保険を使わないなど、労災隠しという違法行為をする会社があったりするという問題もあります。

労災は労働基準局への報告義務がありますので、労働中、通勤中に怪我を負った場合は、必ず労災申請を要求するようにしましょう。

 

当院にも、仕事中に起きた災害による労災で、打撲・捻挫・骨折などの怪我をしてしまった方が通われています。

労災によるお怪我の治療をされている方の場合には、治療費は労災保険からおりますので、当院での窓口のご負担・お支払いはありません。

また、労災によるお怪我の患者様に対しては、労災申請や書類等の書き方など、ご不明な点についても丁寧にご説明いたします。

 

今年の全国労働衛生週間は、10月1日~7日です。この週間は、働く人の健康の確保・増進を図り、快適に働くことができる職場づくりに取り組むためにあります。最近の調査のによると、社会福祉施設や飲食店などでは休業4日以上の災害件数は増加傾向にあります。それには、人手不足、労働者の高齢化、各店舗や施設での安全衛生活動等の取り組みが進んでいないことなどの要因があるようです。これを機に労働災害についての正確な知識を持っておくことも大切です。