年齢を重ねると共に骨密度が減っていき転倒しただけや尻もちをついただけで簡単に骨が折れやすくなってしまいます。

高齢者骨折の特徴としては

①骨粗鬆症により簡単に骨折が起こりやすくなる

    65歳以上を過ぎると骨粗鬆症による変化が著しく脆弱性骨折を起こしやすくなります。

 神経、筋の変性に加えバランス力が低下し素早い反応ができなくなり、転倒することが増えることも一因と考えられます。

 ※高齢者で骨粗鬆症が進行していると咳・くしゃみ等で骨折することもあります。

②骨折の症状は軽度となる

成人と異なり、高齢者では軽微な外力で骨折を起こすため、骨がそこまで大きく転位することは少ない。

また筋力も弱いため筋の牽引による転位も少ないのが特徴です。

 

治療上の特徴

①関節拘縮、変形を起こしやすい

 長期、強固固定だと組織の柔軟性低下により関節拘縮を残すことが多い。

 短期、軽度固定だと自家矯正力の低下により変形治癒を残すことが多い。

 理想的な固定 

 ⒈強固すぎず、軽度すぎない固定

 ⒉長期すぎない固定

 ⒊日常程度に支障をきたさない程度の固定

 

②廃用症候群を起こしやすいため、早期離床を目指す

ベットなどでの治療が長期に及ぶと、廃用症候群を引き起こす可能性が高くなります。

なるべく臥床期間を短くすることを念頭に入れ、早期離床を目指す必要があります。

廃用症候群とは?

(1筋委縮、関節拘縮 2褥瘡 3深部静脈血栓症 4沈下性肺炎 5尿路感染症 6認知症)

 

③早期から運動療法を開始する。

運動療法は可能な範囲内で固定施行と同時に開始するようにします。

 

そうした中でも特に高齢者に多く起きやすい骨折が4つあります。

①上腕骨外科頚骨折

②橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)

③脊椎椎体圧迫骨折

④大腿骨頚部骨折

 

①上腕骨外科頚骨折

1症状

・腫れが強く現れます。

・経過とともに肘内側部~前腕部に皮下出血斑が出現します。

・運動はおおいに制限をうけてしまう。

・肩関節の脱臼と類似した外観を呈する。

・腋窩神経麻痺を合併する。(上腕近位外側の感覚麻痺、三角筋が麻痺して腕を横に挙げられなくなる)

 

②橈骨遠位端骨折(コーレス骨折)

・幼少児から高齢者と幅広い年齢層に発生します。特に高齢者に良く見られるの骨折です。

・多くは転倒した時に手を衝いて起こる事が多いです。

・手全体に腫れが見られます。手関節の運動が制限されます。

・固定期間は4~5週間ぐらいで外れます。

・前腕には2本の骨、橈骨と尺骨があります。橈骨は親指側の骨で、手根骨との間に手関節を構成します。もう一方の尺骨は小指側の骨です。橈骨の遠位端部すなわち手関節に近い部位の骨折にはいろいろなパターンがあり、コーレス骨折はその中のひとつです。

合併症

・骨折や脱臼も一緒に起こる事があります。

・ズディック骨萎縮(反射性交感神経性ジストロフィー・RSD)

・長母指伸筋腱断裂(母指の伸展障害)

 

ズディック骨萎縮(反射性交感神経性ジストロフィー・RSD)とは?

病態メカニズム

①外傷(骨折)発生

②損傷部の止血をしようと血管が反射的に収縮する。

③時間が経過

④拡張するはずが血管は収縮したまま(交感神経異常興奮)

⑤血流不足を生じ疼痛が発生

 

診断において重要な症状

発汗異常 関節拘縮 爪・骨の萎縮

 

③椎体圧迫骨折

・骨粗鬆症のある高齢者に好発します。

・脊髄損傷を起こすことは少なく、予後良好であることが多いです。

・胸椎の11番~腰椎の2番(胸腰椎移行部)に発生頻度が高くなります。

 

発生機序

・高所からの転落⇒足や尻もちを衝く⇒脊柱に垂直方向の屈曲力や圧迫力が作用し発生

 

症状

・脊柱後弯が増強します。

・起立歩行や前屈が制限されます。

・高所からの転落は踵骨骨折を合します。

 

④大腿骨頚部骨折

・転倒した際に大転子を打った際に発生します。

・内側骨折と外側骨折の2種類があります。内側骨折の発生が最も多いです。

・内側骨折は予後が悪いため絶対的に手術の適応になります。

 

大腿骨頚部内側骨折が難治な理由

①高齢者に好発する。

骨癒合機序が若年者に比べ劣るため

②骨折部に常に剪断力(反対方向に働く力)が働く。

③体幹に近い損傷部の血液供給が断たれやすい。

内側大腿回旋動脈を損傷するため

④骨膜性仮骨が期待できない。

 

合併症

大腿骨頭壊死 偽関節 長期臥床による続発症

 

高齢者の骨折を予防する方法

骨折の予防のために大切なことは大きく二つ、「転倒予防」「骨粗鬆症の予防と治療」です。

日常生活において歩行運動を積極的に行なうことが転倒予防として大変有効です。

70歳以上の高齢者でも男性なら6,700歩、女性5,900歩とされています。

  1. 適度な運動負荷
  2. カルシウムや蛋白質を意識した食生活
  3. ビタミンDの生成のために日光に当たる

骨密度は貯金のようなもの。若い時(20-44歳くらいまで)に貯めた骨量は年齢とともに少しずつ減っていきます。増えることはありません。

上記の3つはあくまでもその進行を遅らせるための対策です。どんなに頑張っても残念ながら骨密度を再び上げる効果はありません。

病院で骨粗鬆症と診断された場合には、あくまでも薬による治療が必要だということをお忘れなく。

高齢者に多い骨粗鬆症を予防することが大切なのです。

運動で骨は強くなるといわれています。

例えば、歩行すれば骨に負荷をかけることができ、骨密度の低下を予防できます。

また、運動は骨を強くして骨粗鬆症を予防できるだけでなく、筋力低下の予防にもなります。

日頃から散歩をする習慣をつける、ラジオ体操をする、歩いて買い物に行く・家事をして体を動かす、など運動を取り入れた生活を送ることを心がけましょう。

栄養面では、特にカルシウム、ビタミンDが大切です。

カルシウムは、骨や歯を形成する栄養素で、魚や牛乳などに多く含まれます。

ビタミンDはカルシウムの吸収を促すといわれています。