野球選手に多い怪我(野球肩)
< 野球選手 >
野球選手で肩を痛めた、肘を痛めたなどの悩みがある方
特にボールをやく投球するピッチャーは痛みを発症しやすく、
放置しておくと選手生命にもかかわってくる症状に繋がる場合もなります。
この痛みの原因、傷病名、解決策はなにか。
野球肩(投球肩)
名前が野球と入っているからと言って野球だけに起こるのではなく
バレーボールでサーブやアタックをしたりして振りかぶる動作なども
この疾患になるので、野球だけでとはいいがたいです。
単純に使い過ぎてというよりは、誤ったフォームで繰り返し負担をかけてしまっていることから起こります。
余計な負担が体にかかり続けることで、筋肉、腱や関節部分に痛みを発症してしまい
うまく投げられなくなり、選手として活躍できにくくなってしまいます。
また、野球肩とは大きく言っていますが、様々な種類があります。
インピンジメント症候群
これは肩を痛めている方で一番多いと言われていて、
肩を上げていき70~120度の間で痛みや引っ掛かりがあった場に症状が出やすく、
腕を前に真っすぐ上げていき、そこに上から力を加え押し上げようとする力を加えていきそこで痛みが出ると陽性です(インピンジメント徴候)。
インピンジメント症候群は肩を使う時に、肩甲骨についている肩峰という部分(鎖骨の下あたりにある)だったり靱帯が、骨頭という腕の骨の頭の部分と衝突しあうことで発生します。
ここの間には腱板と呼ばれる4つの筋肉がはさまっていて、そこから炎症を起こしてしまい痛みへと繋がっていきます。
これがインピンジメント症候群です。
腱板損傷(回旋筋腱板損傷)
棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉からなる腱板と呼ばれる部分で
急な外力などで部分的に断裂してしまったり、
腕の骨にくっついているので引っ張られてはがれてしまったりすることで
発生する損傷です。
重量挙げをした際や、ラグビーのタックルで起こる事があり
パタパタと腕を動かしたりするのができなかったり、腕が上がらなくなってしまいます。
また、夜寝ている時に痛みが出る夜間痛というものも発生する事もあります。
完全に断裂していると手術になったりして運動復帰するのに時間がかかってしまう場合があります。
ルーズショルダー(動揺性肩関節症)
元々肩が不安定で、普通の人以上に可動域が大きく動いてしまうものです。
肩関節は肩甲骨と上腕骨でできていて、その間にある靱帯や筋肉が緩んでしまっていることから動揺肩と言われています。
日常生活的には特別問題はありませんが、
肩を使いすぎたり、あるいは使った際に方に違和感や不安定感、脱力感があり方が抜けそうに感じてしまったりします。
使い続けると周囲の組織を傷つけてしまう事がありますが
筋力トレーニングを上手く行い、肩にかかる負担を少しでも軽減できるようにして
うまく競技と向き合うことが大切です。
また、野球選手でもフォームの乱れで負荷が大きくなるため、
しっかりとした形を作り調整していくことが怪我の予防になります。
リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)
大人ではなく、成長期の子供に起こる事が主です。
子供の骨は柔らかく成長過程なので、身長にもかかわる成長軟骨というのがあり
そこが投球の繰り返しで障害されて骨が長くならなくなります。
この繰り返しの外力により、成長軟骨の部分が引っ張られ引き離されてしまい
痛みがでてきます。
投球を禁止して数日様子を見ながら、筋力トレーニングなどで肩を強化していき
負荷をなるべくかけないようにして少しずつ治していきますが
症状として投球時のほかにねじり動作を加えた際などにもなるので
できるだけ無理せず安静を心がけていくことが大切です。
肩甲上腕神経損傷
腱板損傷の部分で話した4つの筋肉のうちの1つに棘下筋があり
その棘下筋を支配している肩甲上神経が投球動作の際に引っ張られたりすることで
痛みを発症するものです。
腕を肩より高く上げることでよく発生し、痛みの出方としては肩の後ろ側に放散します。
安静にして治す事もありますが、神経圧迫をなくしていく手術や注射を行うことも多いです。
~予防と治療について~
基本は発症しないようにしていくことが大切です。
ストレッチで筋肉の柔軟性を出していくこともそうですが
主に柔軟性を出してほしいところは背中などに大きくついている「広背筋」という筋肉です。
ここは投球などの大きく動かすのに関係してきて、野球選手ならわかると思いますが
肩甲骨の柔軟性は特に大事と言われています。
この肩甲骨の動きにも大きく関連してくるのがこの広背筋です。
すとれ地の仕方を一つ上げるとすると、片方の肩を上げて、肘を曲げます。
逆の手で肘をもち、からだを逆の方の手側に曲げながら肘を引き寄せます。
骨盤は動かさずに倒していくとわき辺りが伸びてくるのを感じられます。
このような肩回り、肩甲骨周りの可動域をしっかりだしていき
発症しないようにしてください。
痛みが少しでも出ている状態で投球をし続けたりすることで
後々、ひどくなってしまったり悪化すると手術をしなくてはいけなくなります。
日頃から運動量にあった量のストレッチを行える努力をしてみてください!