攣る(つる)とは?

 

攣る(つる)とは、筋肉が異常に収縮して痙攣(けいれん)を起こすことです。

 

 

患者様の中にでもよく聞かれるのが、睡眠中、急に脚が攣ってしまい、驚きと痛みでその後眠れなくなってしまった。

みなさんも、このような経験をされた方は多いかと思います。

普段からウォーキングや運動をしている方のなかには、特に歩き過ぎたり、運動し過ぎたりしたわけでもないないのに、毎晩のように脚が攣ってしまう方もいます。

久しぶりにスポーツをしたら腕が攣ってしまったり、高い所の物を取ろうとしただけなのに肩が攣ってしまったりと、攣ってしまうタイミングや箇所も人により様々です。

他にも、長時間の立ち仕事や、座りっ放しの作業でも起こりますし、年齢を重ねるごとに頻繁に攣る方もいます。

しかし、その原因は一体何なのでしょうか?

 

 

*原因*

攣ってしまうのは、主に身体のミネラルバランスの乱れが原因になります。

健康な人でも、睡眠中にたくさん汗をかいたりすると、ミネラルバランスが崩れて攣りやすくなります。当然のことながら、激しい運動をしてたくさんの汗をかくと、身体が脱水傾向になりミネラルバランスが崩れて攣りやすくなります。

ですから、特に歩き過ぎたわけでもないのに、夜中に脚が攣ってしまうのは、ミネラルバランスの乱れによるものかもしれません。

 

攣ってしまったときは体内のミネラルバランスが崩れているため、水分とミネラルの補給が効果的です。スポーツドリンクや経口補水液などで、素早く水分とミネラルの補給をしましょう。

特に、スポーツやウォーキングなどの際には、こまめに水分とミネラルを摂るようにしましょう。

もちろん暑い日は、日中も睡眠中にもたくさん汗をかき、ミネラルが不足しがちなので注意が必要です。

また痙攣の予防には、日頃からミネラル不足にならないように食べるものにも気を付けることも大切です。

例えば、ナッツ類や海藻類には、マグネシウムが含まれており、乳製品や大豆製品にはカルシウム、バナナやキウイ、イモ類にはカリウムが多くふくまれているので、これらを意識して積極的に摂るのが良いでしょう。

しかし、水分とミネラルを補給して、患部を温めながら安静にしていても痙攣が治らずに、痙攣の範囲がどんどん広がっていくような場合には、なるべく早く病院へ行くことをお勧めします。運動中の痙攣や長時間の痙攣、繰り返す痙攣の場合には、脱水症状であることも考えられますので危険です。

 

 

もう一つの大きな原因に、身体の冷えによるものがあります。冷えることにより、血行不良となり、攣りやすくなります。

冬場によく脚を攣ったりする方は、冷えから起こっている場合が多くみらます。身体が冷えてしまうと同時に筋肉も冷えてしまい、血管が収縮して血の流れが悪くなります。

季節的に暖かい時期でも、ちょっとしたことで身体は冷えてしまので注意が必要です。例えば、夏の時期には冷房をつけたままの部屋で長時間過ごしたり、冷えすぎた部屋での睡眠も血行が悪くなります。季節の変わり目も、布団をかけずに寝たりなどすると身体はすぐに冷えてしまいます。

 

 

また原因として挙げられるのが、寝返りの瞬間などで動かしてなかった筋肉を急に動かしてしまうと、筋肉の過剰な収縮から痙攣を起こし攣りやすくなります。

 

 

年を重ねるごとに起こりやすくなる原因としては、運動量が減っていることが挙げられます。運動量が減ることで筋肉量が減り、筋肉の血行も悪くなるためです。

また、アルコールを摂取する方は利尿作用が強い為、身体のミネラルまで一緒に出してしまうためアルコールの飲みすぎも攣る原因となります。

 

これらの原因から、普段からバランスの良い食事や、適度な運動、ストレッチ、ミネラルと水分補給は重要です。

 

 

*攣ってしまったら*

 

脚や肩、腕などが攣ると、条件反射的にストレッチなどしてしまいますが、無理に伸ばすとかえって痙攣が悪化することがあります。

筋肉は伸ばすというよりも、縮まったものを元に戻すイメージで少しずつ伸ばしていくのが良いでしょう。

ぎっくり腰や寝違えの場合は、主に冷やす処置をしますが、攣ってしまった場合には、冷やさずに温めるようにします。幹部などを冷やしてしまうと身体が熱を保とうとして、筋肉がさらに縮もうとしてしまうからです。

 

 

先ずは、慌てずに心と身体を落ち着かせて深呼吸をしましょう。

特に、大腿部や臀部などの大きな筋肉や首の周辺が攣った場合、痙攣が広範囲なために慌ててしまうと、さらに神経が興奮してあちこちに痙攣が飛び火してしまう可能性があります。先ずは落ち着くように心がけましょう。

 

攣ったところは強く伸ばさずに、ゆっくりやさしくさするようにしましょう。

無理にストレッチをして強く伸ばそうとすると症状が悪化し、場合によっては肉離れを起こしてしまうことがあります。幹部は手を当てて軽く圧迫する程度が良いでしょう。

椅子に座るなどの楽な姿勢をとることも必要です。姿勢と気持ちを楽にして、患部をさする、ゆっくり伸ばす、軽く圧迫するのがおすすめです。

 

 

少し痛みが和らいできたら、過剰に縮まってしまっている筋肉をゆっくりと伸ばしていきましょう。ストレッチをして強く伸ばすのではなく、縮まってしまったものを元に戻すようなイメージで行います。

 

 

筋肉は過剰に伸びたり、収縮したりすると、断裂や損傷を起こしてしまいます。そのため、伸びすぎを防ぐ筋紡錘と縮みすぎを防ぐ腱紡錘という2つのセンサーがあります。

筋紡錘は筋線維の中にあり、筋肉が強く伸ばされた際に、その情報を脊髄に送ります。

もう一方の腱紡錘は腱の中にあり、筋肉が縮みすぎた際に、その情報を脊髄に送ります。

 

例えば、ストレッチをしたときに、強く伸ばすと痛みが出るのは、筋紡錘が働いて筋肉に縮めという指令が出るためです。攣るとは、筋肉が異常に収縮する現象のことなので、原因は筋肉の過剰な収縮を防ぐセンサーである腱紡錘の働きの低下にあります。

 

 

*まとめ*

腱紡錘の機能低下の最大の原因は、体内のミネラルバランスの乱れにあります。

運動中や就寝中など発汗しているときに起こりやすくなります。特に筋肉の収縮や神経伝達に大きく関わるカルシウム、カリウム、マグネシウムのバランスが崩れると筋痙攣のリスクが高まります。

マグネシウム不足は腱紡錘の機能低下に大きな影響を与えるので注意が必要です。また、冷えなどによる血行不良、加齢によっても腱紡錘の機能は低下します。

痙攣を予防するには、日頃からミネラル不足にならないよう、食事に気を付ける必要があります。

季節の変わり目は特に体調も崩しやすくなりますから、お気を付けください。