体の中を巡る血液には肉体を動かすために必要な酸素や内臓も含めた全身を構成するための栄養などを運ぶ重要な役割が与えられています。

血液の半分は水を含む液体成分ですが、残りは赤血球・白血球など固形成分で出来ています。中でも赤血球は固形成分の99%を占めており、その主たる物質は鉄分になります。

今回は貧血をテーマに鉄分のお話をしていきたいと思います。

貧血が疑われる症状と自己チェック

貧血と聞くと何となく女性がなりやすいイメージがあります。

それは月経による出血や婦人系の病気で血液を多く失って起きる鉄欠乏性貧血になりやすいからですが、貧血は女性特有の病気ではないため、当然男性も貧血になります。

男性が貧血症状を感じる場合、胃・十二指腸潰瘍や大腸がんなど深刻な病気が疑われる為、早めの受診を強くお勧めしますが、一般的に汗をかくこの季節は体内のミネラル分が失われやすく貧血になりやすいとも言われています。

貧血にはいくつか種類があり、先述した血液が足りなくなっていることで起こる貧血は鉄欠乏性貧血呼ばれ、一番なりやすい貧血です。その他に再生不良性貧血(骨髄の造血機能が低下し、血液が作れなくなってしまう難病)溶血性貧血(細菌感染や何らかの毒素、あるいは異常なアレルギー反応などで赤血球が破壊されしまう病気)といった恐ろしい貧血も存在しますが、ここでは鉄欠乏性貧血についての症状だけに絞っての記述とします。

貧血症状の例としては

・疲れやすい、寝ても眠気が取れない

・立ち眩み、めまいがする

・頭痛がする

・顔色が悪いと言われる

・お煎餅や氷など硬いものが無性に食べたくなる

・爪が割れやすい、スプーンのように反ってしまっている

こういった症状が続く場合、鉄欠乏性貧血になっている可能性があります。

日々の食事だけで鉄分の必要摂取量を取るのは難しく、自覚症状が無い人でも鉄分を含むミネラル分が不足していると言われています。

鉄分のはたらき

鉄分とは肉体に必要な五大栄養素のひとつ「ミネラル」の一種です。

ミネラルと一口に言っても無機質の物質を総称したものなので、種類は114種もあり、そのうち人体に必要な栄養素は16種類発見されています。

身近なものだとカルシウム・マグネシウム・ナトリウムなどがミネラルとされいて、ナトリウムは主に塩から摂取するので摂取過多に注意が必要ですが、逆に不足しがちなミネラルとしてカルシウム・鉄分が挙げられます。

ミネラルは体内で生成で出来ず、食事やサプリメントなどで外から摂取しなくてはいけない栄養素であり、そうやって摂取した鉄分は主に「ヘモグロビン」の生成を行います。

ヘモグロビンとは赤血球の中に存在している鉄分(ヘム)を含んだタンパク質の1種で、血中に取り込まれた酸素を全身に巡らせる大切な役割を担っています。

酸素はすべての臓器の活動の源になる重要なエネルギーですから、ヘモグロビンは常に一定量が体内で生成されるようになっており、鉄分が足りなくならない様に鉄の貯蔵庫として肝臓・脾臓に蓄えておき、必要な時に血中に溶け出して補給される仕組みになっています。

しかし先述したように鉄分は不足しがちな栄養素で、意識をして食事に取り入れたつもりでも吸収率が悪いために思ったよりも摂取できていなくて気が付かないうちに鉄分不足になってしまうことも珍しくありません。

効率よく鉄分を身体に取り入れていくために

鉄分には2種類あり、動物性食品に含まれるヘム鉄と植物性食品に含まれる非ヘム鉄に分かれています。

ヘム鉄の代表的な食品は肉・魚類が挙げられ、非ヘム鉄はホウレンソウや小松菜などの青野菜から摂取する事が出来ます。

この二つの大きな違いは吸収率にあります。

ヘム鉄の吸収率は10%から20%なのに対し、非ヘム鉄は1%から6%と大きな差があります。ちなみにナトリウムは小腸での吸収率がほぼ100%と言われているため、やはり鉄分を日常的に採るためには気をつかってレシピや食材を選ばなくてはいけません。

肉類を多くとっていれば補っていけますが、日本の食卓では非ヘム鉄の食材が多く使われているので、この非ヘム鉄からも効率よく鉄分を摂取して、バランスの良い食事が他の栄養素を摂取する為にも望ましいです。

摂りすぎると毒になることも…

日々の食事での適量摂取は大切ですが、サプリメントなども含めた多量摂取は逆に身体に悪くなってしまうのも鉄分の難しい所です。

ビタミンのように鉄分も摂り過ぎた分は体外へと排出されていきますが、ビタミンほど排出量は多くは無いために長期にわたり過剰摂取をした場合、体内に毒素として蓄積されてしまい、動脈硬化や心不全など深刻な症状を起こす危険があります。

血液検査をしたり、栄養士に相談するなどして自分にとって適量の摂取を心掛けましょう。

まとめ

貧血になりやすいのは毎月の月経がある女性が圧倒的に多く、鉄分が不足すると肌色が悪くなりお化粧のノリも悪くなってしまいます。

酸素を運ぶ血液、血液を作る鉄分。

健康でいるためにも美しくいるためにも是非鉄分摂取を意識してみてください。