セロトニン活動で心から元気になる
令和2年も終わり、新しい年がやってきました。
とはいえ、去年突如世界中に蔓延したウイルスにより生活や人との関係ががらりと変わってしまったという人も多く、まだまだその感染力におびえる日々が続いています。
当院でも自粛生活にリモートワークとストレスのたまる日常で肩こり・腰痛が悪化してしまったという患者さんが増えました。
予防の知識や栄養バランスなど、多くの人が身体の健康を深く考え、生活の在り方を考えたのではないでしょうか。
しかしながら、慣れない生活リズムと感染への恐怖などで心の健康が損なわれてしまい、心と密接な関係である身体もなかなか思うように健やかになれないという方も多くいます。
自分でコントロールが出来ない心の健康とはどういうものなのか、心も身体も健康であるにはどんな生活が望ましいのか。
何が正解なのかと言えるものではありませんが、新しい1年を少しでも明るい年に出来るように生活習慣から見つける心の健康を考えていきたいと思います。
冬は憂鬱になりやすい季節
もともと日照時間の短い冬は気持ちが落ち込みやすいと言われています。
それはヒトの身体は日の光を浴びることによって、精神の安定化や自律神経を整える働きをする脳の神経伝達物質「セロトニン」を分泌するからです。
冬は夏に比べ、平均5時間も日照時間が短くなっているうえに、地方によっては雲が厚くかかってしまい冬の間はほとんど日の光を浴びることが出来なくなってしまうため、セロトニンの分泌量が減り、それが季節性うつ病を増長させていると言われています。
セロトニンの分泌量が減少すると自律神経が乱れ、鬱、不眠、ストレスなどの症状をかんじやすくなりるため、出来る限り日光を浴びたいところですが、冬はどうしても天気が乱れがちなので、日光以外の方法でセロトニンの分泌量を増やす必要があります。
食事で増やす幸せホルモン
セロトニンの分泌量を増やすにはアミノ酸の1種「トリプトファン」が多く含まれている食品を摂取することが効果的になります。
食事からしか摂取することが出来ないトリプトファンは脳へ運ばれ、あらゆる脳神経伝達物質の生成に使われます。
- 大豆
- 牛乳
- 豚ロース
- マグロ
- カツオ
- バナナ
- はちみつ
上記の食材がトリプトファンを多く含んでおり、さらにトリプトファンの吸収を助けるビタミンB群も多く含む食品が多いため、より効率の良いホルモン分泌を促せます。
サプリメントからも摂取可能ですが、摂りすぎると重篤な副作用を起こす可能性があるため、用法容量を守って適切な量の摂取しましょう。
お家で手軽にリズム運動
リズム運動とはその名の通り、単調な動きを繰り返す運動のことです。
一定のリズムで筋肉の緊張と弛緩を繰り返すことにより、神経が刺激され脳内のセロトニンが増幅されます。
運動と言っていますが、ウォーキングや踏み台昇降などの身体を動かすものから咀嚼や呼吸など日常生活で運動と思っていないことまで幅広く含まれています。
例としては、ガムなどを20分間噛んでいるだけでもその効果は現れます。
ただし、リズム運動を行うにあたって注意事項があります。
- 集中してリズムを刻むことで脳を刺激するため、ながら運動はダメ
- 運動して5分後からセロトニンの分泌が始まるため、15~20分程が望ましい
- 疲れてしまうとセロトニンが分泌されなくなってしまうため、やりすぎない
運動をした後やストレッチなどをした後の「あー気持ちいい!」という感情がセロトニンが分泌されている証拠です。
通勤・通学などで歩いている時に頭の中で「1・2・1・2」と数えながら歩くだけでリズム運動になるので、習慣にしやすいと思います。
無理のない運動を取り入れ、幸せホルモンの補給をしていきましょう。
感動の涙を流すこと
小説・映画・漫画・音楽などポジティブに自分の心を動かすものは脳へ刺激を与えることが出来ます。
自律神経は交感神経と副交感神経が交互に働くことによって身体と精神のバランスを保つようにできていて、活動している時・ストレスを感じている時は交感神経が働き、リラックスしている時・就寝している時は副交感神経が働きます。
物語や音楽の世界に浸ることによって涙を流すと交感神経から副交感神経に切り替わり、その際に神経が活発化するためセロトニンの分泌量が増えます。
また涙にはマンガンというミネラル分が多く含まれており、このマンガンが一定量を超えて体内にたまってしまうとうつ病のリスクが上がるともいわれています。涙を流すことで体内のマンガンを排出してうつ病のリスクを軽減することが出来ます。
自宅で過ごす時間の多い今、ゆったりと自分の世界に没頭してみてはいかがでしょうか。
新年になり、まだまだ寒い時期も続きますし、緊急事態宣言が出て、感染の恐怖に大きなストレスを感じている方も多いと思います。
自分の心が健康な状態になければ他人の心も大切にできません。なにより自分を大切にして、心の健康法をお試ししてみてください。