発酵食品と暮らす

発酵食品は様々な素材・手法を用いて古くから世界中で親しまれています。

日本の食卓でお馴染みの味噌や納豆、醤油などを始め、韓国のキムチ、欧州のパンやヨーグルト、チーズなど普段何気なく口にしているようなものの中にも発酵食品が多く含まれています。

発酵の起源は保存環境にありますが、冷蔵庫がある近年では新鮮なものを新鮮な状態で保存ができる為、家庭で発酵させて保存をするという文化は廃れていきました。

その代わりスーパーですでに発酵された状態で購入できるようになり、家庭の発酵文化は廃れても食卓の発酵食品の種類は国の垣根を越えて多く並ぶようになりました。

化学によってヒトの身体によい影響を与えることもわかり、積極的に食卓に並べたい食品になった発酵食品ですが、発酵とはどんな作用を起こすことなのか学びつつ発酵文化と暮らしていく健康な生活についてお話したいと思います。

腐敗とは違う「発酵」

発酵と腐敗の違いは人に害のある状態に変化したのかどうかですが、その変化をもたらすのは微生物の働きです。

発酵の仕組みが微生物の働きであることと判明したのは顕微鏡が発明された17世紀ですが、人と発酵食品との文化は紀元前から脈々と受け継がれてきています。

発酵にはアルコール発酵や乳酸発酵といっていくつか種類があり、どれも世界中どこの国でも伝統的な食品として親しまれています。

アルコール発酵とは酵母菌という微生物を用いて糖をエタノールと二酸化炭素に変化させることであり、ブドウを醸せばワインに、お米を醸せば日本酒になります。酒類以外にはパンもアルコール発酵で作られる食品の代表です。パンの場合、イースト菌と言う酵母菌の一種で小麦を醸し、発生したエタノールと二酸化炭素でパン生地を膨らませ、加熱させて仕上げます。

乳酸菌を用いて醸す乳酸発酵の食品は多岐にわたり、日本でもお馴染みの糠漬け・浅漬けなどのお漬物や韓国の国民食キムチ、欧米で親しまれるチーズやヨーグルトなどがあります。乳酸発酵させた食品は味に酸味の刺激を与え、さらに発酵後の熟成によって独特の香りとまろやかさが加わり、非常に味わい深く変化をしていきます。

腸の働きを助ける乳酸菌

腸は第二の脳と言われ、自律神経やホルモンなどの神経伝達物質の働きと密接に関係しており、腸内環境を整えることが健康維持の秘訣にも繋がっています。

消化器官としての働きが腸の主な仕事ですが、神経伝達物質のセロトニンの95パーセントは腸で作られ、セロトニンの活動が活発になることでヒトは幸福感や充実感を感じると言われています。これが第二の脳と呼ばれる所以です。

ストレスを強く感じたりすると胃が痛くなったり、便秘・下痢などの消化器官の不調を起こしやすくなりますが、逆に消化器官に不調を感じることから健康への不安がストレスの原因になってしまうという負の相互作用が起こってしまいます。

そこで腸内環境を整えることにより、肉体から精神まで健康体を目指すのに役に立つのが発酵食品です。

腸内バランスは日和見菌7:善玉菌2:悪玉菌1 がいいとされています。

悪玉菌が1存在していた方が良いというのは、悪玉菌はタンパク質の消化や外から入ってきた病原菌から身体を守るという大役を担っているためですが、残念ながら悪玉菌が増えすぎてしまうと発がん率が上がったり、免疫力が下がり風邪を引きやすくなるなどの身体の不調の原因になってしまいます。

日和見菌はその名の通り、腸内菌のバランスによって働きを変える細菌なので善玉菌の働きが活発な腸では善玉菌の働きを助け、悪玉菌が多い腸では悪玉菌の手助けをする働きがあります。

善玉菌の働きとは消化活動を活発にすることで身体から老廃物を排出し、免疫力の向上、アンチエイジングなどの美容効果といった消化器官の正常な働きを促すことです。

乳酸発酵させた食品には乳酸菌が多く含まれており、乳酸菌は腸内を酸性にすることで悪玉菌の増加を防ぐことが出来るほか、善玉菌の働きを助け免疫力の向上からアレルギー症状の低減、感染症予防などの効果をもたらします。

現代の発酵食品

最初にスーパーなどで簡単に発酵食品が手に入るようになったと書きましたが、残念ながらそういった食品には本来発酵食品に含まれているはずの発酵菌たちが死んでしまっている場合がほとんどです。

市販のお漬物やキムチ・納豆などは発酵して出来上がった時点で発酵菌ごと消毒してしまいます。そのため、市販の発酵食品は長期保存には向かず、放置しておくと雑菌がわいて腐敗していきます。

発酵菌が死んでしまった発酵食品では期待されている健康を促す効果は無く、逆に塩分過多の心配があるうえ、保存料や人工調味料と言った添加物も含まれている物も多くあり健康食品とは言い難いです。

古くから親しまれている発酵食品との付き合い方は大量生産やコストカットなどの産業的観点から変化してしまい、ただの加工食品の一つとなってしまいました。

発酵食品と暮らす

加工食品は生活していく中でとても身近な食品ですが、昨今は健康意識の高さと共にオーガニック食品や丁寧な暮らしという「昔ながらの生活習慣」に注目が集められています。

そういった生活を目指す中で自家製の味噌や糠漬けと言った発酵を楽しむ文化に興味を持ち、発酵食品から得られる栄養を学んだり時間と共に変化する味わいを楽しむ人もまた少しずつ増えているようです。

管理が面倒というのが発酵食品のイメージにありますが、手を掛ければ掛けるだけ美味しくなっていくのも特徴です。特に冷蔵庫がある現代ではぬか床などの管理もさほど手間のかからない物なので、簡単に自家製糠漬けが出来ます。

発酵食品と暮らす、丁寧な暮らしは心と身体を健康にしていく一歩になるかもしれません。

Prev:傷害保険
六本木で日曜日やっている整骨院・鍼灸院の紹介です:Next