交通事故の賠償問題解決

示談

賠償問題を解決するには、通常「示談交渉」を行います。示談とは、裁判所の関与なしに当事者間で話し合って賠償額などを決定することです。(交通事故の加害者が自動車保険に加入している場合、一般的に当該保険会社が加害者に代わって示談交渉を行います)

示談が成立すると特別な場合を除き後日、変更・取り消しすることができません。その為、示談を行う場合は慎重に行う必要があります。

示談のすすめ方

  • 自分の請求内容が正当であることを裏づける証拠として具体的な資料(交通事故証明書・診断書・領収書など)をそろえます。
  • 示談はタイミングよくすることが大切です。あまり感情的にならずに焦らずに慎重にすすめます。 その為には、あらかじめ専門家(弁護士など)に相談し、妥協できる最低限の条件を決めてから、交渉を行うとスムーズに示談が成立するようです。
  • 示談が成立したら示談書(損害保険会社にも備え付けてあります)を作成します。
    示談書の形式は自由ですが、下記の事項は必ず記載します。

    • 当事者名
    • 示談内容
    • 交通事故日、場所
    • 示談書の作成年月日
    • 加害車両の登録ナンバー
    • 賠償の支払い方法
    • 交通事故の状況
    • 署名、捺印

示談の重要ポイント

権利放棄条項

示談書には「今後、この件については一切請求しない」という意味の権利放棄条項を書くのが一般的です。したがって損害の見通しの十分立たないうちに示談すると、後から請求できなくなる事もあるので注意が必要です。

権利留保条件

現状では判断できないが、後遺症などの心配がある場合は「もし今後、本件による後遺障害が生じたときは改めて協議する」という権利留保条項を示談書の中に入れておきます。

調停

示談ができず、でも訴訟(裁判所による解決)にはしたくない場合に裁判所が設置する調停機関が仲介し、当事者双方で譲り合いながら合意に基づいて解決を図るものです。

調停のすすめ方
  • 損害賠償を請求する相手方(加害者)の住所を管轄する簡易裁判所、もしくは人身事故の場合は請求者(被害者)の住所を管轄する簡易裁判所に調停を申し立てます。
  • 申し立てがあると調停委員会両当事者を呼び出すので、当事者は出頭しなければなりません。
  • 調停では裁判所と異なり、当事者がお互い自由に主張を述べる事ができます。調停委員会はそれを聞きながら、折り合いがつく解決案を考え、まとめ役をつとめます。折り合いのつく状況なら解決もスピーディーです。
  • 解決案がまとまれば、その内容をもとに調停調書が作成されます。これは、裁判所の確定判決と同じ効力があり、強制執行ができます。

調停の注意点

権利放棄条項

双方が同意しないと成立しない点、相手が出頭しなければそれまで(正当な理由なく出頭しない場合は50,000円以下の過料)という点が欠点です。

訴訟

訴訟とは裁判による解決方法です。専門家の弁護士に依頼するものが一般的です。裁判は通常解決するには日数がかかるものです。特に相手が判決に納得せず上訴すれば、何年もかかることがあります。

しかし、第一審判決に仮執行宣言をつけることにより、確定判決の場合と同様、すぐに強制執行ができます。通常、裁判には弁護士報酬や印紙代などの手数料が必要となります。

損害賠償請求が60万以下の訴訟では安い費用ですみやかに解決できる小額訴訟制度があります。また、裁判の費用にお困りの方には日本司法支援センター(法テラス)において、経済的に余裕のない方が法的なトラブルにあわれた時に、無料で法律相談を行い、弁護士費用等の立替えを行っています。この制度を利用するためには、資力や問題解決の見込みなどの審査があります。